刑事事件の流れ
「家族が逮捕されてしまったけど、この後はどうなるの?」
刑事事件に関してご相談をお受けするとき、このような質問をいただくことが多々あります。
刑事事件についておおよそのイメージはできているものの、具体的にどのような流れで進行していくのかという部分はご存じない方も多いと思います。
このページでは、刑事事件についてどういった流れを踏んでいくのかを説明し、皆さまの疑問を解消していければと思います。
はじめに、刑事事件の大まかな流れに関する図をご覧ください。
刑事事件は、基本的に上の図のような流れで進んでいきます。
「勾留って何のこと?」
「逮捕と勾留は何がどう違うの?」
「起訴、不起訴は誰が決めるの?」
「最終的にどのくらいの時間がかかるの?」
色々と疑問点があると思いますので、順を追って説明していきたいと思います。
なお、刑事事件には逮捕・勾留などの身柄拘束がなされずに進んでいくケースもありますが、ここでは身柄拘束をされるケースの刑事事件の流れを説明します。
身柄拘束されないケースの刑事事件の流れについては、基本的にはこのページの「起訴・不起訴」「判決」という項目のみを読んでいただくことである程度はお分かりいただけると思います。
逮捕
身柄拘束されるケースの刑事事件においては、警察側にとって刑事事件は逮捕する前から始まっていますが、逮捕された方(ここでは「被疑者」と呼びます)やそのご家族からすれば、通常、逮捕された瞬間から刑事事件が始まることになるでしょう。
逮捕には、逮捕状を示したうえで逮捕をする通常逮捕や逮捕状を示さないで逮捕をする現行犯逮捕などがありますが、このページでは逮捕の種類に関する説明は省略します。
まず、逮捕された場合にどうなるかという点について、通常は、事件が起きた場所の近くにある警察署内の留置場で身柄を拘束されることになります。
そこでは、逮捕されてから48時間以内という時間制限のもと、警察による捜査・取調べが行われます。
そして、警察による捜査・取調べが終了すると、1日がかりで被疑者が警察関係者とともに検察官(検事ともいいます)のいる検察庁に移動して、検察官による取調べが行われます。
以上のように、警察から検察に捜査が移ることを「送検」といいます。
検察による捜査は送検から24時間以内(逮捕から合計72時間以内)と決まっており、この制限時間内に検察官が身柄拘束を継続して捜査を続けるべきかを検討します。
そして、検察官が身柄拘束を継続して捜査を続けると決めた場合には、最長20日間の身柄拘束である「勾留」を裁判所に請求し、これを受けて裁判所が勾留を認めた場合には、勾留により警察署での身柄拘束が継続されます。
なお、検察官が身柄拘束を継続する必要がないと考えた場合には、勾留請求はされないため、釈放となります。
勾留
勾留となった場合、最長72時間の逮捕の後、さらに10日間の身柄拘束が警察署でなされ、捜査や取調べが継続されることになります。
ただし、10日間の身柄拘束では足りず、身柄拘束を継続して捜査を続けたいと検察官が考えた場合には、さらに10日間身柄拘束を延長する「勾留延長」を裁判所に請求し、それを受けて裁判所が勾留延長が妥当と認めた場合には、延長後の10日間とあわせて合計20日間の身柄拘束がなされることになります。
まとめると、警察や検察は、72時間の逮捕と20日間の勾留という合計で最長23日間の身柄拘束のなかで捜査や取調べを一通り終えなければならないというルールになっているのです。
起訴・不起訴
逮捕・勾留という合計で最長23日間の身柄拘束のなかで警察や検察が捜査・取調べを行いますが、この身柄拘束のなかで検察官が行わなければならない重要なことがもう一つあります。
それは、起訴・不起訴を決定することです。
起訴とは被疑者を刑事裁判にかけることをいい、不起訴とは被疑者を刑事裁判にかけないことをいいますが、起訴・不起訴を決定するのは警察官でも裁判官でもなく、検察官だけが持つ権利です。
検察官が不起訴にする場合は、主に、捜査の結果として犯罪を証明できるほどの証拠が集まらなかったときや刑事裁判にかけるほどの重い罪ではないと考えたときなどです。
不起訴になれば、即時で釈放となりますし、前科は有罪判決を受けた場合に限りつくものですので、前科もつきません。
その一方で、起訴となった場合には、基本的には起訴後勾留として刑事裁判が終わるまで、警察署の留置場ではなく拘置所という場所で身柄拘束が継続することになります。
刑事裁判は、通常、起訴されてから約1、2か月ほどは要しますので、非常に長い期間の身柄拘束になります。
しかし、起訴後勾留には、裁判中の身柄拘束を解放する「保釈」の手続がありますので、保釈を請求し裁判所に認めてもらえれば、普通に日常生活を送りながら裁判を行うことが可能です。
判決
刑事裁判では、検察官と弁護人が主張や証拠を出し合い、それらを受けて考慮検討したのち、最後に裁判所による判決が下されます。
この判決によって、有罪か無罪か、有罪であるとすれば刑務所に入る懲役刑か、もしくは刑務所に入らない執行猶予や罰金刑かなどの詳細が決定します。
万一、執行猶予の付かない懲役刑の判決が下ってしまった場合には、刑務所に入り受刑者となります。
その一方で、執行猶予付きの判決や罰金刑を言い渡された場合には、釈放となり身柄は解放されることになります。
ここまで、刑事事件の流れを説明してきましたが理解を深めていただけたでしょうか。
刑事事件の流れをいちどで理解するのは容易ではないと思いますが、大まかなイメージとして把握してもらえれば構いません。
東京弁護士法人では、刑事事件(刑事弁護)でお悩みの方に対し、積極的にサポートをさせていただいております。
刑事事件における初回相談の際には、今後の流れと注意点を必ず説明させていただいておりますので、その中で、ご不明な点がありましたらご質問をいただければと思います。
ご家族が逮捕されてしまいお困りの場合には、まずは、当事務所までご相談ください。
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