盗撮

盗撮をしてしまうと、どのような罪に問われるか?

 

盗撮を行なった場合、その態様によって、①迷惑行為防止条例違反②住居侵入罪③軽犯罪法違反に問われる可能性があります。

 

いずれが適用されるかは、盗撮の様態によって異なりますが、検挙されたまま放っておいた場合、前科がついてしまう可能性があります。

 

具体的には、各都道府県によって法定刑が異なりますが、例えば、東京都の迷惑防止条例違反の場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑が定められています(なお、常習犯の場合には、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が定められています)。

 

 

起訴されれば99%の確率で有罪になり前科がつく

 

検察官は、容疑がほぼ確実であると判断した上で被疑者を起訴するため、現在の日本の刑事司法においては、起訴されれば統計上は99.9%の確率で有罪となってしまいます。

 

これに対し、不起訴(ふきそ)とは、文字通り起訴されないことを意味しますが、不起訴には

 

①嫌疑なし②嫌疑不十分③起訴猶予の3種類が存在します。この点、①嫌疑なしとは、被疑者が罪を犯したとは判断されなかった場合をいい、②嫌疑不十分とは、被疑者が罪を起こした疑いはあるものの、決定的な証拠がない場合をいいます。

 

そして、③起訴猶予とは、被害者が罪を犯したことは確実であるものの、被疑者の反省や、被害者との示談の有無、犯罪の軽重、再犯のおそれの有無などを考慮して、今回は起訴を見送るという場合をいいます。

 

 

不起訴になる確率は?

 

この点、盗撮による条例違反事件については不起訴率が公表されていないため、公表されている住居侵入罪と軽犯罪法違反についてみると(なお、統計には、盗撮事件以外の事件も一部含まれております)、2019年の検察統計年報によれば、統計上は、住居侵入罪については約60%が、軽犯罪法違反については約85%が不起訴となっています。

 

もっとも、当該統計からすれば、住居侵入の目的や態様によっては約40%が起訴されていることもまた事実であります。

 

また、軽犯罪法違反がその名の通り軽い犯罪とされていることを検察が考慮していることを考えれば、盗撮による条例違反事件の不起訴率が公表されていないため正確な数字は分かりませんが、盗撮による条例違反の不起訴率は軽犯罪法違反の不起訴率を大きく下回る可能性が高いといえます。

 

 

不起訴になるために必要なこと

 

この点、盗撮を行ったこと自体は事実である場合と、そもそも盗撮を行っていない場合とで、不起訴となるための重要な要素に違いがあります。

 

まず、盗撮を行ったこと自体は事実である場合、自首をしているか否か、示談の有無、初犯か否か(前科の有無)、余罪の有無等が重要な要素となります。

 

この点、初犯であり余罪がなかったとしても、行為態様や被害者の処罰感情から、起訴されてしまう可能性がある以上、不起訴処分の可能性をより高めるには、反省の態度を示し、被害の回復を図るため、自首被害者との示談を検討する必要があります。

 

この点、捜査機関が盗撮を行ったという犯罪事実及び犯人を把握していない場合又は、盗撮を行ったという犯罪事実は把握しているものの犯人を把握していない場合でなければ自首が成立しないため、捜査機関が盗撮行為や盗撮行為を行った犯人を把握する前に、速やかに自首を行う必要があります。

 

 

ただ、自首を行ったとしても、捜査機関が対応してくれないこともあり、対応してもらえたとしても、捜査機関より取調べを受けることとなるため、弁護士同行の上自首を行うのが安心です。

 

また、被害者に対し示談金を支払うことにより、被害が一定程度回復されたと考えられ、厳罰に処す必要性が低下するため、不起訴の可能性が高まることになります。

 

そのため、いち早く被害者との示談を成立させる必要がありますが、被害者との接触が禁止されるため、弁護士に依頼した上で、被害者との示談を試みる必要があります。

 

一方、そもそも盗撮を行っていない場合には、弁護士のサポートのもと、捜査機関に自己に不利な供述調書等を作成されないよう、否認・黙秘を貫く必要があります。

 

 

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監修者プロフィール


代表弁護士 森川弘太郎

 

当弁護士法人は、開設以降、一貫して刑事事件をメインで扱っており、現在の私選弁護事件の取扱件数は西東京・多摩地域ではトップクラスであると自負しております。

 

また、当弁護士法人は、特に性犯罪事件の弁護や勾留阻止について多くの実績を有しており、また、刑事事件に特化した事務所でも重点的に取り扱うことの少ない自首のサポートに注力している点も特色です。

 

 

 
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