国選弁護人と私選弁護人の違い

 

刑事弁護を担う弁護士は、「国選弁護人」と「私選弁護人」と呼ばれる2種類の弁護士が存在します。

 

では、この「国選弁護人」と「私選弁護人」の違いとは何なのでしょうか。

 

 

そもそも国選弁護人って何?

 

国選弁護人とは、端的に言えば、私選弁護人をつけるお金がない方に対して国がつけてくれる弁護士のことをいいます。

 

すなわち、その方にお金がないことが前提の制度となっておりますので、国選弁護人をつけるには現金・預金が50万円未満であることが条件になります。

 

なお、国選弁護人は、逮捕された後、すぐにつけてもらえるものではなく、逮捕に続いて勾留が始まる段階ではじめて国選弁護人をつけてもらえます。

 

このことから、国選弁護人から逮捕直後に取調べなどに向けたアドバイスをもらうことはできません

 

また、国選弁護人に支払われる報酬に関しては、通常はご自身で負担する必要はありません。

 

ただし、弁護士報酬を支払う余裕があると判断された場合には、裁判終了後に弁護士報酬を支払わなければならなくなる場合もありますので、必ずしもタダで弁護士をつけられる制度というわけでもありません。

 

 

私選弁護人と国選弁護人の違いは?

 

私選弁護人とは、国選弁護人のように国がつける弁護士ではなく、逮捕された方やそのご家族などが自ら選んで依頼した弁護士のことを指しますが、国選弁護人とは何が違うのでしょうか。

 

まずは、以下の表をご覧ください。

 

 

私選弁護人

➀弁護士を選べるか⇒自由に選ぶことができる
➁弁護士がつく時期⇒いつでも
➂交代・解任⇒可能
➃権限⇒同じ
➄能力⇒実際に担当する弁護士次第
国選弁護人

➀弁護士を選べるか⇒選べない(国が名簿から割り振る)
➁弁護士がつく時期⇒勾留後
➂交代・解任⇒原則不可
➃権限⇒同じ
➄能力⇒実際に担当する弁護士次第

 

 

私選弁護人と国選弁護人の主な違いは上の表に記載したとおりです。

 

この点、誤解されている方が多くいらっしゃいますが、国選弁護人でも私選弁護人でも弁護士として持つ権限に変わりはありませんので、「できること」は全く一緒です。

 

まず、私選弁護人と国選弁護人の最も大きな違いは、「弁護士を選べるか」と「弁護士がつく時期」の2点になります。

 

国選弁護人は、勾留後でなければつけてもらず、逮捕直後につけてもらうことはできないため、一通りの取調べを弁護士のサポートがない状態で受けなければならなくなる可能性があります。

 

一方で、私選弁護人であれば、逮捕直後や場合によっては逮捕前から弁護人をつけることが可能なため、弁護士のアドバイスを受けたうえで取調べに挑むことが可能です。

 

また、国選弁護人は、国(裁判所)が国選弁護活動を行っている弁護士の名簿の中から機械的に担当する弁護士を決定するので、どのような弁護士がつくかは実際に国選弁護人と面会するまで知ることができません。

 

加えて、たとえ国選弁護人となった担当弁護士に不満が生じた場合であっても、原則として国選弁護人を変更することは認められていないのです

 

他方、私選弁護人の場合には、ご本人やご家族が弁護士を自由に選ぶことができるため、事前に十分に弁護士を見極めて納得したうえで弁護士のサポートを受けることができます。

 

 

国選弁護人と私選弁護人はどっちがいいの?

 

国選弁護人と私選弁護人でどちらがよいかという質問を多々いただきますが、一概にお答えできるものではありません。

 

ただ、ここまでご説明してきたとおり、私選弁護人をつけた方がご自身の納得のいく弁護活動を受けられる可能性が高いのは確かであると思います。

 

理由としては、やはり、ご自身の目で実際に依頼をする弁護士を選ぶことができるからです。

 

また、ごく稀にではありますが、「国選弁護人の先生があまり面会に行ってくれない」、「国選弁護人の先生が迅速に動いてくれない」というようなご相談をいただくことがあります。

 

実際に、国選弁護人の報酬は、私選弁護人の報酬の相場と比較すると、数分の一程度であることは事実としてあります。

 

なお、弁護士会によっても異なりますが、国選弁護人の名簿は、研修を一回受けることで登載できるようになるなど、登載に厳格な要件は設けられていないのが実情です。

 

そのため、普段はあまり刑事事件に触れていない弁護士や刑事事件にそれほど情熱があるわけではない弁護士などが国選弁護人として選ばれ、担当になる可能性はゼロではありません。

 

しかし、その反面、国選弁護人をされている先生でも、経験豊富なうえ、とても熱心な弁護活動をされている方も非常に多くいらっしゃいます。

 

運良くそのような先生に巡りあえた場合には、結果として私選弁護人をつけるより良かったということもあると思います。

 

結論としては、私選弁護人の報酬を支払える経済状況があり、その報酬を支払う価値のある弁護士に巡りあうことができれば私選弁護人を選任する方がよいと思いますし、そうでなければ国選弁護人を選任することでよいと思います。

 

 

刑事弁護ではご本人と弁護士との間の信頼関係が非常に重要になりますので、慎重に弁護士を選ばれることをお勧めします。

 

ご家族・従業員などが逮捕されてしまってお困りの方は、なるべく早い段階で、一度、当事務所までご相談ください。

 

 

監修者プロフィール


代表弁護士 森川弘太郎

 

当弁護士法人は、開設以降、一貫して刑事事件をメインで扱っており、現在の私選弁護事件の取扱件数は西東京・多摩地域ではトップクラスであると自負しております。

 

また、当弁護士法人は、特に性犯罪事件の弁護や勾留阻止について多くの実績を有しており、また、刑事事件に特化した事務所でも重点的に取り扱うことの少ない自首のサポートに注力している点も特色です。

 

 

 

 
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