盗撮したら罰金刑?罰金の相場と罰金を避ける方法【弁護士が解説】
盗撮ってどんな罪?
一般的に、盗撮というと、被写体を無断で撮影することをいいます。
しかし、刑事罰が科される盗撮は、一般的な意味での盗撮とは異なります。
「盗撮」とは、「通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の写真機を差し向け、もしくは設置すること」をいいます(東京都迷惑防止条例第5条1項2号)。
つまり、相手に無断で、通常、人に見せない身体の一部や下着をカメラで撮影したり、撮影のためにカメラを差し向けたり、設置したりした場合に「盗撮」にあたることになります。
たとえば、駅構内のエスカレーターで、女性のスカートの中をスマホのカメラで撮影した、 階段を昇っている女性の下着を撮影しようとしてスマホのカメラを女性のスカートの中に差し向けた、個室トイレの中にカメラを設置した場合などです。
なお、「盗撮」は、各都道府県の条例によって罰則が科されています。
盗撮にはどんな刑罰があるの?
公共の場所、乗り物等で盗撮をしてしまった場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(東京都迷惑防止条例第8条1項、第5条1項2号)。
なお、盗撮のために、人の家の敷地内に侵入した場合や公共の施設内に侵入した場合には、住居侵入や建造物侵入の罪に問われる可能性があります。住居侵入罪や建造物侵入罪に問われた場合には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に科されます。
罰金刑って何?
罰金とは、一定額の金銭を国庫に納付させる刑罰のことをいいます。
刑法上、罰金は、1万円以上とし、上限については定めていません。
なお、科料も罰金と同じように、一定額の金銭を国庫に納付させる刑罰のことをいいますが、刑法上、1000円以上1万円未満と定められています。
また、迷惑防止条例違反で罰金が科される場合、略式手続となることが多いです。
略式手続とは、刑事裁判を経ることなく、非公開で罰金または科料を科す刑事手続きのことをいいます。
検察官が起訴した場合、本来であれば、公開の法廷で刑事裁判を行うことが原則となりますが、略式手続となれば、刑事裁判を経ることなく、非公開で罰金または科料が科されることになります。
ただ、憲法上、被告人には公開の法廷で裁判を受ける権利が保障されているため、略式手続を行う場合には、検察官が被疑者に対し、略式手続について十分説明した上で、略式手続について異議がないことを明らかにする必要があります。
盗撮で罰金になったらいくら支払うことになるの?
立件された件数や犯行態様によって異なりますが、通常、初めて盗撮で罰金刑が科される場合には、10~30万円の範囲で罰金刑が科されることが多いです。
ただ、2回目以降の場合には、前回、罰金刑に処せられたことが前科調書等で分かりますので、前回よりも重い罰金刑が科される場合、又は公判請求(刑事裁判にかけられること)されることもあり得ます。
罰金を避けるためにはどうすればいいの?
迷惑防止条例違反については、犯行を認めている状況において、示談が成立すれば不起訴になるケースが多いです。
一方で、示談が成立しない場合には、罰金(あるいは場合によっては起訴)となるケースもあります。
このように、罰金刑を回避するために重要なのは、被害者の方との示談となります。
ただ、盗撮の罪を犯してしまった方やそのご家族の方が、被害者の方に連絡しようとしても、警察官や検察官から、加害者側に被害者の連絡先を教えてもらうことはできません。
そのため、盗撮の罪を犯してしまった方やそのご家族の方が、被害者の方と示談交渉を行うことはできません。
では、被害者の方と示談交渉を行うためにはどうすればよいでしょうか?
それは、弁護士に被害者との示談交渉を依頼することです。
弁護士が被害者の方と示談交渉を行いたい旨を警察官や検察官に伝えれば、警察官や検察官は、被害者本人に確認した上で、弁護士限りで、被害者の連絡先等を教えてくれます。
そして、弁護士を通じて示談交渉を行い、示談が成立すれば、罰金刑や公判請求(刑事裁判にかけられること)を回避することができる可能性が高まります。
弊社では、盗撮事件を多数取り扱っており、示談交渉の経験も非常に豊富です。盗撮の罪を犯してしまった方で、被害者の方と早急に示談交渉がしたいという希望がありましたら、一度、弊社にご連絡いただければと思います。
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