強制わいせつで実刑になる?初犯でも懲役刑はあり得るのか
1. 強制わいせつ罪とは?内容と量刑
1-1. 強制わいせつ罪とは
強制わいせつ罪とは、13歳以上の者に対して暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合や、13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合に成立します。
わいせつな行為とは、被害者の性的羞恥心を害する行為、わかりやすく言うと、相手の胸や性器に触れる行為、相手に抱きつく行為や相手にキスする行為など、一般的に相手が嫌がる性的行為全般をいうと解されています。
なお、強制わいせつ罪は既遂・未遂問わず処罰の対象となります。
1-2. 罪の重さ
強制わいせつ罪の量刑は、強度の性的侵害行為となるため、6月以上10年以下という重い法定刑が定められています。
この点、判決で懲役3年を超える刑が宣告される場合には、法律上、執行猶予(刑の執行が猶予されるため、判決後にすぐに刑務所に入ることにはなりません)を付けることができません。
したがって、強制わいせつ罪で執行猶予を獲得するには、自首による減軽や(刑法第42条)、被害者との示談成立などによる酌量減軽(刑法第66条)などにより、判決で宣告される刑を懲役3年以下とする必要があります。
2. 初犯で実刑もある?量刑相場と判断基準
2-1. 量刑相場
強制わいせつ罪は重い犯罪であるため、起訴されてしまうと実刑判決が宣告される可能性もあります。
また、初犯の量刑相場に関し、データが公表されているわけではありませんが、性犯罪の厳罰化が進んでいます。
そういった点からも、初犯であったとしても、被害者との間で示談が成立していなければ、執行猶予判決を得ることが出来ず、実刑になってしまうケースもあると思われます。
2-2. 判断基準
量刑を決める際の考慮要素としては、下記の事情等が考慮されると思われます。
- 犯行の悪質性
- 犯行態様が悪質である場合、被害が大きいとして、初犯であっても重い刑が科される可能性が高まります。
- 結果の重大性
- 事件によって被害者が精神的な病気を患ってしまうなどしてこれまで通りの日常生活を送ることができなくなってしまった場合、重大な結果が生じたものとして、重い処分が下される可能性が高まります。
- 被害者との示談の成否
- 被害者との示談が成立していない場合、被害者の処罰感情が強いものとして思い処分が下される可能性が高くなります。
- 加害者の反省の有無
- 加害者が犯行を真摯に反省し、今後再犯を犯さないために行っている対策(病院への通院等)も考慮される場合があります。
3. 強制わいせつ罪で弁護士を付けるメリット
3-1. 示談成立・不起訴を目指せる
強制わいせつを行ってしまった場合、起訴される前の捜査段階において、いち早く、被害者との示談を試みる必要があります。
しかし、当然ながら、被害者と接触することが一切禁止されてしまうため、弁護士に依頼をした上で、被害者との間で法的に有効かつ効果的な示談を作成する必要があります。
もし、起訴される前の捜査段階において、被害者との間で示談が成立すれば、検察官が、被害者の処罰感情等を考慮し、不起訴処分とする可能性も出てきます(この場合前科は付きません)。
3-2. 起訴されても減刑の可能性が高まる
また、起訴されてしまったとしても、被害者との間で示談が成立していれば、判決で宣告される刑が軽くなる可能性が高まります。
被害者が示談に応じてくれるか否かは分かりませんが、強制わいせつを行ってしまった場合に、執行猶予判決を獲得するためには、被害者との示談が必要不可欠であると考えられるため、まずは、お早めに弊所までご相談ください。
一方、強制わいせつを行っていない場合には、捜査機関に自己に不利な供述調書等を作成され、これを裁判における証拠として利用されないよう、弁護士のサポートのもと、否認・黙秘を貫いていく必要があります。
監修者プロフィール
当弁護士法人は、開設以降、一貫して刑事事件をメインで扱っており、現在の私選弁護事件の取扱件数は西東京・多摩地域ではトップクラスであると自負しております。
また、当弁護士法人は、特に性犯罪事件の弁護や勾留阻止について多くの実績を有しており、また、刑事事件に特化した事務所でも重点的に取り扱うことの少ない自首のサポートに注力している点も特色です。 |
