強姦・強制性交で示談を考えたときに知っておくべき4つのポイント
ポイント① 強制性交等罪において示談が重要な理由
統計上の数字にはなりますが、現在の日本の刑事司法においては、起訴されてしまうと、99.9%の確率で有罪となり前科が付いてしまうことになるため、前科が付くことを避けるためには、不起訴処分の獲得を目指す必要があります。
この点、最終的な起訴・不起訴の判断は、検察官が行うことになりますが、検察官は起訴・不起訴の判断をする際に、被害の重大性や行為の悪質性などはもちろんのこと、特に示談成立の有無や被害者の処罰感情を確認しています。
そのため、示談が成立していれば、検察官がその点を考慮し、不起訴の判断を下す可能性が高まります。
また、強制性交等罪で逮捕されてしまった場合、被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分が見込まれることを理由として、早期に釈放される可能性が出てきます。
さらに、起訴されてしまった場合でも、被害者との示談成立が成立していれば、その点が考慮され、判決にて宣告される刑事罰の内容が軽くなる可能性があります。
この点、懲役3年を超える刑が判決にて宣告される場合、法律上、執行猶予(刑の執行が猶予されるため、判決後、直ちに刑務所に行くことにはなりません)を付けることができないことになっています。
そして、強制性交等罪の場合、定められている法定刑が5年以上の有期懲役となりますので、強制性交等罪で執行猶予を獲得するには、自首による減軽や(刑法第42条)、被害者との示談成立などによる酌量減軽(刑法第66条)などにより、判決で宣告される刑を懲役3年以下としなければなりません。
ポイント② 示談の流れ
強制性交等罪に該当する行為を行ってしまった場合で、罪を認める場合には、早急に被害者との示談を試みる必要があります。
もっとも、被害者の連絡先が分からないことがほとんどであり、刑事事件化している以上、基本的に、捜査機関は被害者の情報を教えてくれません。
また、仮に被害者の連絡先を知っていたとしても、捜査機関からの忠告などにより、被害者との接触は一切禁止されるため、弁護士に依頼をした上で、被害者との間で示談を試みる必要があります。
この点、まずは、弁護士から捜査機関に対し、被害者の連絡先を教えてもらうよう連絡をします。
これを受け、捜査機関が被害者の意向を確認し、被害者が、弁護士に対し連絡先を教えることを了承すれば、弁護士が捜査機関より、被害者の連絡先を教えてもらうことができます。
その後、弁護士が被害に連絡をし、被害者との間で示談が成立すれば、被害者との間で示談書を作成することとなります。
そして、弁護士が捜査機関に対し示談書を提出し、不起訴処分を求めていくことになります。
ポイント③ 示談書の内容
示談の成立においては、被害者の感情に適切に配慮を示す必要があります。
この点、被害者は、被疑者の復讐等を恐れていることもあるため、示談書に接触禁止条項などを記載し、示談をすることが考えられます。
また、検察官は、起訴・不起訴の判断を下す際に、被害者の処罰感情を重視する傾向があるため、示談書に「被疑者を許すこととする」といった文言や、「寛大な処分を求める」「刑事処分を求めない」といった文言が記載されていることが望ましいです。
ポイント④ 示談金の相場
刑事事件においては、被害者の処罰感情などよって示談金が大きく変動するため、示談金の相場というものはあまりありません。
この点、強制性交等罪についても、数十万円で示談が成立することもあれば、数百万円で示談が成立することもあるのが実情です。
なお、法定刑として5年以上の有期懲役が定められていることからも明らかではありますが、強制性交等罪自体が非常に重い犯罪となりますので、行為態様が悪質な場合や、被害の程度大きい場合には、高額な示談金を求められることもあります。
以上の通り、強制性交等罪に該当する行為を行ってしまった場合で、罪を認める場合には、不起訴処分等を獲得するために、いち早く弁護士を付け、被害者との示談を試みる必要があります。
そのため、強制性交等罪に該当する行為を行ってしまい今後どうしたら良いかお悩みの方は、一度、弊所までお問い合わせいただければと思います。
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